めまいの原因と症状、治療についてお話します。
めまいの原因は耳にあることが多いのです。
しかし脳が原因になるめまいもあります。
脳が原因でめまいの症状が起こることは少ないですが、その場合は早急な治療が必要です。
- 手足や顔にしびれ
- 激しい頭痛
- 言語障害(ろれつは回っていますか?)
- 意識障害(意識がもうろうとしていませんか?)
- 物が二重にみえる
- 首から後頭部にかけての痛み
上記のような症状があるめまいの場合は、ただちに病院での治療が必用です。
救急車で神経内科or脳神経外科、もしくは救急外来へ向かいましょう。
それ以外の原因で起きためまいの対処は、まずは自分が楽な体勢で安静にしましょう。
そしてめまいの症状が落ち着いたら、めまいの内容をメモ。
- いつ
- どこで
- どのようなめまいか
- 何をしている時か
- めまいの回数
- どれくらいの時間か
ということです。
めまい以外の症状があるかもメモしましょう。
耳鳴りや難聴、吐き気、耳の詰まる感じはあるでしょうか。
現在飲んでいる薬があれば、メモをするかお薬手帳を病院に持参しましょう。
このメモがあれば、病院で治療を受ける際に有効な情報となります。
ではめまいの原因が脳の場合から詳しく見ていきましょう。
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めまいの原因が脳の場合
脳が原因でめまいが起こるととがあります。
ふわふわ、フラフラと揺れる症状のめまいの場合が多いです。
脳は体の各部分から情報をもらい、体のバランスをとる指示を出しています。
脳は体のバランスをとる中枢器官なのです。
そのため、脳が病気になってしまうことが原因でめまいが起こるのです。
ではめまいの原因となる脳の病気をみてみましょう。
脳卒中が原因のめまい
めまいの原因が脳卒中の場合があります。
めまいの原因は脳の血管です。
脳卒中は脳の血管が詰まることで起きることがあります。
これは脳梗塞と呼ばれ、脳の血管が血液のかたまり(血栓)によってフタをされてしまうのです。
脳梗塞の治療は
- 血栓を溶かす
- 血栓ができるのを防ぐ
ということが行われます。
脳卒中は脳の血管が破れてしまった時にも起きます。
これは脳出血と呼ばれ、高血圧が原因となっていることが多いものです。
脳出血の治療では止血やむくみとりが行われます。
出血量が多いと、出血して固まった血(血腫)を取り除く手術が施されることがあります。
脳腫瘍が原因のめまい
脳にできた腫瘍が脳の組織を圧迫して、脳の機能を低下させてしまいます。
脳や神経、脳の血管にできた腫瘍が原因となってめまいを引き起こすのです。
耳鳴りや難聴を伴うことも。
めまいの原因が脳腫瘍であるときの治療は手術が基本です。
腫瘍を手術で取り除くのです。
悪性の腫瘍の場合、放射線での治療になることもあります。
椎骨脳底動解離が原因のめまい
椎骨脳底動脈解離(ついこつのうていどうみゃくかいり)が原因となるめまいです。
長い名前ですね。
体のバランスを保つ中枢は小脳や脳幹にあるのですが、そこに血液をおくる動脈に亀裂が入ってしまうのです。
この動脈は首から後頭部にかけて走っていますので、その部分の痛みが併発します。
椎骨脳底動解離の治療は
抗血小板療法
血液を凝固させる血小板が集まるのを抑え、血栓ができるのを防ぐ
抗凝固療法
血液を固まりにくくして、血栓ができないようにする
という方法が行われます。
めまいの原因が耳の場合
めまいの原因として一番多いのが、耳の奥にある内耳という部分の障害です。
その理由は、この内耳に体の平衡感覚を維持するセンサーが付いているからなのです。
三半規管も内耳にあるセンサーで、体の回転をキャッチします。
このセンサーが乱れた時に、グルグルと回る症状のめまいになることが多いです。
耳の病気は大きく二つに分けることができます。
難聴や耳鳴りが伴うものと、そうではないものです。
ではめまいの原因となる耳の病気を治療を含めて順にみてみましょう。
難聴や耳鳴りが伴うめまいの対処法
めまいが起きた時、難聴や耳鳴りが伴うことが多くあります。
耳には平衡感覚のセンサーがついているとお話しました。
このセンサーの近くには、音を感知する蝸牛(かぎゅう)という器官があるのです。
平衡感覚のセンサーの乱れは、近くにある音を感知する器官に影響を強く及ぼします。
そのためめまいが原因で難聴や耳鳴りが起こるのです。
◆めまいに難聴や耳鳴りが併発したら早めの受診を!
めまいが原因で難聴や耳鳴りが併発していたら、早めに耳鼻咽喉科へ向かいましょう。
1週間以内の受診が必要です。
遅くとも2週間以内に耳鼻咽喉科で治療を始めないと、症状が固定してしまうのです。
それではめまいが原因で難聴や耳鳴りを伴う病気を、症状や治療といっしょに解説していきます。
◆メニエール病の原因と症状・治療や手術
メニエール病の原因は、耳の奥にできた水ぶくれです。
平衡感覚を感知する器官と音を感知する器官が圧迫されて機能が麻痺してしまいます。
メニエール病には前触れの症状があります。
耳の中に物が詰まったような圧迫感と、耳鳴りと難聴です。
数日後20分以上のめまいが起こり、長い場合は一日中続くことも。
発作は繰り返し起こります。
メニエール病の治療はまずストレスの軽減です。
リラックスできる環境づくりをします。
薬での治療はこちら。
水ぶくれの軽減のために利尿剤、内耳の血行促進の薬、抗めまい薬、抗不安薬、ビタミンB12による内耳の機能回復といったものです。
これらの薬でもメニエール病の症状が改善しない場合、ステロイド剤で内耳の炎症を抑えます。
加えて、内耳のセンサーとなる器官をマヒさせる薬でめまいを減らすことも。
メニエール病の手術は、溜まった水ぶくれ中身(リンパ液です)を切開によって出してしまいます。
他にも平衡感覚を脳に伝える神経を切ってしまうという手術もあります。
◆突発性難聴の原因と症状・治療
突発性難聴の原因は、ウイルスの感染や耳の奥の内耳が血流障害おこしたからと言われています。
突発性難聴の症状は「キーン」という高音の耳鳴りと、片耳の難聴です。
めまいが併発する場合は基本的に一回だけで、めまいが複数回の場合、メニエール病が疑われます。
突発性難聴の治療は、まず安静にすることです。
過労がきっかけとなることが多いからです。
突発性難聴の治療は、ウイルスの感染対策としてステロイド剤で内耳の炎症をおさえます。
内耳の血流障害への対策としては、血管を広げる薬や血流を良くする薬が出されます。
◆外リンパ瘻(がいりんぱろう)の原因と症状・治療や手術
耳の奥の内耳にある膜(鼓膜よりも奥の膜)が破れてしまうことが原因となって外リンパ瘻が起こります。
きっかけはくしゃみや鼻をかんだ時、咳をしたり重いものを気張って持った時、飛行機に乗った時など。
耳の中の圧力が急に変化した時に、非常に薄い膜が「ポン」という音と共に破れてしまうのです。
外リンパ瘻の症状は、めまいや難聴、耳鳴りです。
耳鳴りは、水の流れるような「ザー」という音が鳴ります。
外リンパ瘻の治療は、安静が基本です。
耳に負担をかけないように、鼻かみや排便時にいきまないようにします。
10日前後をかけて、自然治癒を待ちます。
自然治癒がかなわない場合は、手術になります。
外リンパ瘻の手術は、耳の皮膚を切り取って、破れた患部に貼りつけるというものです。
◆内耳炎の原因と症状・治療
耳の中は、外側から順に「外耳」「中耳」「内耳」と呼ばれています。
中耳炎が内耳にまで及ぶことが原因となって内耳炎が起こります。
内耳炎の症状はめまいで、難聴や耳鳴りが併発することも。
内耳炎の治療は、原因となっている中耳炎双方の炎症をおさえるものになります。
炎症をおさえるのはステロイド剤です。
抗菌、抗ウイルスの薬が使われる場合もあります。
難聴や耳鳴りが無いめまいの対処法
難聴や耳鳴りを伴わないめまいだけが起こる病気の原因と症状・治療をみていきましょう。
まず良性発作性頭位めまい症のお話です。
◆良性発作性頭位めまい症の原因と症状・治療
耳が原因となるめまいで一番多く起こるのが、良性発作性頭位めまい症です。
良性発作性頭位めまい症の原因は、平衡感覚のセンサーである三半規管に「石」が入ってしまうことです。
三半規管は耳の奥内耳にあるのですが、「耳石器(じせきき)」という器官と隣り合っています。
この耳石器も平衡感覚のセンサーで、三半規管と担当部分を分け合っています。
耳石器には、石のようなもの(耳石)が沢山ついていて、体の動きをキャッチしています。
この耳石が剥がれてしまい、隣り合う三半規管のなかに入り込んでしまうことが!
それが原因となって三半規管が乱れ、めまいが起こるのです。
良性発作性頭位めまい症の症状は、グルグル回るめまいを何度も繰り返します。
吐き気や嘔吐を伴うことも。
初めのめまいが一番激しく、時間を追うごとに軽くなっていきます。
良性発作性頭位めまい症の起こるきっかけは、寝返りや床から起き上がろうとした時など、頭を動かすことです。
良性発作性頭位めまい症の治療には、抗めまい薬や内耳の血流を良くする薬が使われます。
めまいへの恐怖心やストレスがめまいの原因を引き起こすとも考えられているので、抗不安薬が使われることもあります。
めまいの薬や抗不安薬を持っているだけで「めまいが起こるかも」というストレス自体が減る効果があるのです。
良性発作性頭位めまい症の治療としては、頭位治療というものもあります。
医師が患者の頭を動かすことで、三半規管の中に入り込んだ石(耳石)の位置をずらしていきます。
そして石を三半規管の外まで出してしまうという治療です。
◆前庭神経炎めまいの原因と症状・治療
風邪をひいた後などにおこる前庭神経炎。
このめまいの理由から見ていきましょう。
前庭神経炎の原因は、風邪などのウイルスに感染したことだと言われています。
平衡感覚を脳に伝える前庭神経に乱れが起こることが原因となってめまいが起こるのです。
前庭神経炎の症状は、頭を動かしていない時でも激しいめまいが長く続くことです。
グルグル回るめまいが、数時間から数日間続きます。
吐き気を伴うことも。
前庭神経炎の治療は、まず安静が第一です。
風邪などで落ちた体力を回復させながら、抗めまい薬や吐き気止め、内耳の血流を良くする薬や抗不安剤などが処方されます。
前庭神経炎の症状が落ち着いてきたら、平衡感覚を取り戻すリハビリを行うと回復が早まります。
まずはその場での足踏みでかまいません。
次は何かにつかまりながらゆっくり歩きましょう。
少しずつ三半規管を鍛えていくのです。